PROJECT STORYプロジェクト
ストーリー

家事が楽しくなる
プロダクト
Nasata初の
BtoC市場を切り開いた
airシリーズ

ナスタ初のBtoC向け商品airシリーズ。
「楽しいSENTAKU」をコンセプトに、家事が楽しくなるプロダクトを生み出していった経緯を、立ち上げに参加した企画の小林と営業の野口が当時を思い出しながら語ります。

「洗濯が楽しい」
という新しい価値。

野口 airシリーズの立ち上げは、本当に大変だったけど印象深い仕事でした。

小林 佐知夫 1998年入社(新卒)
小林 佐知夫 1998年入社(新卒)

小林 住宅業界は良くも悪くも世の中の影響を受ける業界です。家やマンションの建設が増えれば、ナスタの商品もそれに比例するように売上が上がります。不況に左右されない大きな柱をつくるために、airシリーズプロジェクトが発足しました。

野口 企画・営業・広報など各部署から若手社員を集め、現社長の笹川さんも含め7人のメンバーでアイデアを出し合いながら、たった1年で販売までこぎつけましたよね。そのうちの半年間はコンセプトづくりに時間を注いだことを覚えています。

小林 airシリーズ以前の商品開発は、どちらかというと既存の商品の機能などを追加し、どうやって使い勝手をよくするかがメインでした。airシリーズは初めてのBtoC商品だったこともあり、どういう価値を見出して、コンシューマーに売り出していくのかが問われた。そこがむずしかったですね。

野口 慎吾 1998年入社(新卒)
野口 慎吾 1998年入社(新卒)

野口 新規事業を立ち上げるにあたり、ゼロからのスタートは厳しいのではという想いもあり、「住む」に関連しているものに絞りました。みんなで話し合いを重ねる中、「室内干し」に目をつけ、最終的には少し幅を広げ「洗濯」をテーマに事業化を進めました。

小林 家事の中でも料理や掃除のアイテムはいろいろとありますが、当時洗濯にまつわるアイテムはそんなに多くなかったんです。私たちの力で新しい価値を見出せるような気がしていました。

"これで良い"ではなく、
"これが良い!"をつくる。

小林 「楽しいSENTAKU」というコンセプトに行き着くまで、本当にいろいろな工程がありましたよね。

室内物干「AirHoop(エアフープ)」
室内物干「AirHoop(エアフープ)」

野口 いやー、本当に大変だった(笑)このプロジェクトの前まではビルダーや設計事務所の方たちといったBtoBが主軸だったので、コンシューマーの意見を聞くために、丸の内付近にいたOLさんに声をかけて「洗濯」についてのヒアリングをしたこともありましたね。

小林 当たり前ではありますが、足を止めてくれる方は少なかったですよね。だから、コラーゲンドリンクを持って声をかけたり...。

野口 結構、地道なことをしましたね!あと渋谷にあるデザイン学校と産学協同プロジェクトを行い、一緒にコンセプト立案もしましたよね。

小林 私たちは新規事業立ち上げのプロセスを勉強することができましたし、学生にとっては企業の考え方はどういうものかを知る機会になっていたので、お互いに学びがあったと思います。コンセプトが決まるまでの半年間、週に1回、プロジェクトメンバー全員で学校へ訪問しました。

壁面取付フック「AirDot(エアドット)」
壁面取付フック「AirDot(エアドット)」

野口 最終的には外部のデザイナーさんにご協力いただいて、私たちの方でまとめていきましたが、デザインを学ぶ学生さんたちの感性やアイデアに触れることですごく良い刺激をもらえました。

小林 こういったさまざまなチャレンジを経て"これで良い"ではなく、"これが良い!"と選べる洗濯グッズをつくりたいと想い、「楽しいSENTAKU」というコンセプトに。脱衣から収納までの洗濯動線をコーディネートしたブランドをつくりあげました。

野口 よくある便利グッズとは差別化するために、見た目の美しさにもこだわり、洗濯ばさみから室内物干しまで19種類の商品を企画。たった1年間で発売までこぎつけました。実現できたのはたくさんの方々の協力のおかげですよね。

小林 本当にそうですね。全国の工場を飛び回り、交渉を重ねました。すぐに判断をしないと間に合わないですし、かといって妥協して品質を落とすわけにもいかない。時間との戦いでした。

展示会場がナスタの
赤色バッグで染まる。

小林 完成までも試行錯誤の連続でしたけど、そこからお店に置いてもらうのも一苦労でしたよね。

天井取付タイプ室内物干「AirBar(エアバー)」
天井取付タイプ室内物干「AirBar(エアバー)」

野口 私は営業なので商品が仕上がった後の販売先の確保や運用の仕方なども、いろいろとチャレンジしましたね。新しいチャネルをつくるという試みでもあったので、商品を啓蒙するための展示会や販促活動に力を入れました。商品の発売前に、インテリアライフスタイル展に出展もしましたよね。すると、想像以上にバイヤーさんやお客さんがたくさん集まってくれて...すごくうれしかった。

小林 展示会の反応を見て、自信がつきました。ブースに足を運んでくれた方々には、ナスタのロゴが入った赤いバッグを配布していたのですが、ビッグサイトの会場がそのバッグの赤色で染まったときは、感動ものでした。

野口 コンセプトもそうですが、見た目の美しさも含め他にはない商品だったので、きっと話題になったんだと思います。BtoC向け商品でしたが、BtoB企業からも購入したいという声をいただけたことで、品質を追求していくことの重要性をより理解した気がします。

屋外物干「Air+Arm(エアアーム)」
屋外物干「Air+Arm(エアアーム)」

小林 反響が大きかったこともあり、最初の注文分が出荷されたときはうれしかったですね。

野口 明日発売だというときに、前日の夜2時くらいまで大阪で商品を製作。「いつ出せるのか、間に合うのか」みたいな感じになっていましたね。でも、出荷したら終わりというわけでなく...。小売店に置いてもらうのはスムーズでしたが、そこから購入に結びつけるのがまた大変でしたね。販売店舗に足を運び、商品の特長がわかりやすいように洗濯機や洗濯ラックなどを設置したり、POPに力を入れたり、いろいろなことを試しました。営業としては売れていないのはすごく嫌だったので、全国を駆けめぐりました。

小林 お店に行くとずっとお客さんの動向を見ていましたね。お客さんがどんな感じで商品を見てくれて、購入につながるのか気になって。商品の良さを直接説明しに行きたいと何度思ったことか。

野口 その気持ち、わかります。だからこそ商品が売れた瞬間を見たときは、ものすごくうれしかったですね。

airシリーズプロジェクトが
社員の意識を変えた。

野口 airシリーズを立ち上げてから10年経ちましたが、このプロジェクトに関わってどうでした?

集合住宅用ポスト D-ALL(ディーオール)
集合住宅用ポスト D-ALL(ディーオール)

小林 品質って大事だなと。コンシューマーに向けて販売する商品はナスタとしても初めての領域だったので、いままでとは異なる視点でものをつくれました。「お客さま第一」と言いますか、その経験や感覚はいまも生かされている気がします。野口さんはどうでしたか。

野口 関わったみんなにとって新しい経験だったと思います。住宅設備から一気に全く別のチャネルにジャンプした感覚は、メンバーの中ですごく強かったです。当時は他の社員からすると何をやっているのだろうという感覚はあったかもしれないけど...。

小林 確かにプロジェクトチームだけで突っ走ってしまったので、他の社員に共有しながら進めると、もっと良かったのかもしれない。でも想いのあるメンバーでガッとつくったことによって、1年間というわずかな時間でも良いものをつくれた気がします。airシリーズの立ち上げをきっかけに、みんなを巻き込んで一緒にやっていく組織に変われた気もしますし、会社全体の意識改革にもつながった。他社からのLIVNEXやナスタの見え方がだいぶ変わった気がします。

野口 いままでやってきた経験と新しい経験が、それぞれうまく融合してできたことだと思います。

小林 若い世代の人たちにもこういった経験をしてもらいたいですね。私たち自身、このプロジェクトのおかげですごく成長できたし、思い出に残っているので。

野口 もう一度このプロジェクトを立ち上げてと言われたら、僕はもっと結果を出せる自信があります。一発目から上手くいくほど、世の中そんなに簡単ではないじゃないですか。繰り返しチャレンジすることが大事だと思います。ぜひまた挑戦したいです。